こんにちは、長島です。
今回は『卓上ボール』を紹介します。
床に固定して、安全に穴があけられる工具です。
卓上ボールを選ぶ時の参考にしてくださいね。
卓上ボールとは
本体に取付けられたドリルで、穴をあける工具です。
床に固定して使用します。
テーブルが上下するので、高さのあるものでも穴が開けられますよ。
卓上ボールの種類
■ メーカー
・ HiKOKI(工機ホールディングス株式会社)
・ Makita(株式会社マキタ)
他にも沢山あると思いますが、卓上ボールを販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 電源
・ 単相100V
・ 三相200V
下記、写真のようになっています。
工場などで使用される場合は、工場内に三相200Vが引き込まれていると思うので使用する事も可能ですが、小さい作業場では三相200Vの電源がないと思います。
そのような場所では単相100Vを使用されてくださいね。
三相200Vの電源は、下の写真のようになっています。
三相200Vの場合は、接続の仕方によって回転方向が変わってきます。
ドリルの回転が右回りなら正相、左回りなら逆相になっています。
ご自身でされるのは危険なので、電気工事士さんに頼まれてくださいね。
■ 最大穴あけ能力
・ φ6.5mm
・ φ10mm
・ φ13mm
・ φ23mm
最大穴あけ能力は、メーカーや種類ごとで違っています。
穴あけ能力が高ければ高いほど購入金額が高くなってくるので、予算と相談しながら選んでくださいね。
私個人的な考えだと、卓上ボール盤は高価な工具なので、中途半端なφ10mmやφ13mmまでのタイプよりも、最大穴あけがφ23mmが良いと考えます。
マキタの卓上ボール盤は、φ10mmまでしか穴があけられませんが、定価で34,000と安価なので、オススメですよ。
■ 最大送りはば
・ 52mm~125mm
▪ 送りはばとは・・・
ドリルハンドルを回した時にドリルの先端が下に動く、動く長さの事です。
送りはばが長いと穴をあける深さが深くできます。
■ 回転数(回/分)
▪ 50Hzの場合
・ 切替レンジ:3段階~5段階
・ 回転数:1600回/分~3000回/分
▪ 60Hzの場合
・ 切替:3段階~5段階
・ 回転数:1920回/分~3600回/分
周波数が50Hzと60Hzでは、回転数が違っています。
周波数は地域によってきまっているので、どうしようもありませんが、参考までに記載しています。
卓上ボール盤は、電気ドリルなどと違い回転数が少ないのが特徴です。
回転数が遅いと、加工物との接触が多くなり削れやすくなっています。
■ サイズと価格
・ たて:230mm~340mm
・ よこ:370mm~600mm
・ 高さ:580mm~1280mm
・ 重さ:20kg~150kg
・ 価格:34,000円~443,000円
・ 送りはば:52mm~125mm
卓上ボール盤のサイズと価格です。
価格が34,000円~443,000円です。
とてもはば広くあるので、どれがいいか悩まれますよね。
最初に選ぶ時の基準として、穴あけサイズで選んでみてはいかがでしょうか。
穴あけサイズが決まったら、送りはばと価格で検討してもよいと考えます。
大きさも重要ですが、床に据え付けるのはどれも同じなので、気にしなくてもよいと考えます。
・ たて:240mm
・ よこ:240mm
・ 高さ:1280mm
・ 重さ:145kg
・ 価格:427,000円
・ 送りはば:125mm
・ たて:180mm
・ よこ:140
・ 高さ:580mm
・ 重さ:20kg
・ 価格:34,000円
・ 送りはば:52mm
私のオススメ工具で紹介している卓上ボール盤のサイズと価格です。
Makitaの卓上ボール盤はとても安価ですが、大きく深い穴があけられません。
HiKOKIの卓上ボール盤は高価ですが、大きくて深い穴があけられます。
どのサイズの穴が必要なのか検討されてから購入するようにしてくださいね。
卓上ボールのメリット・デメリット
HiKOKI 卓上ボール盤 B 23S と Makita 卓上ボール盤 TB131で比べてみました。
▪ メリット
・ 大きな穴があけられる。
φ23mmまでの大きな穴があけられます。
・ 送りはばが長い
ドリルハンドルを上下させる送りはばが長いので深い穴があけられます。
・ 高さがある。
テーブルとドリルの高さがあるので、少し長いものも入ります。
▪ デメリット
・ 高価。
B 23Sは高いです。
定価で427,000円もします。
ちょっと高すぎですよね。
・ 重い。
重さもかなり重いです。
145kgもします。
一度据付けたら移動するのが困難なので、据え付ける場所の検討が必要ですね。
TB131は、B 23Sの逆だと思って頂ければ間違いないと思います。
ですが、念のため記載しようと思います。
▪ メリット
・ 安価。
定価で34,000円しかしません。
B 23Sの約1/12です。
安く済ませたい方にはオススメですよ。
・ 軽い。
重さが20kgしかありません。
一般的な工具としては重い方ですが、卓上ボール盤の中では最軽量な方だと思います。
▪ デメリット
・ 小さな穴しかあけられない。
メーカー表示では、10mmになっています。
深い穴をあけないなら、ステップドリル等で少し大きな穴もあけられます。
・ 送りはばが短い。
送りはばが52mmしかありません。
深い穴をあけないなら十分だと感じています。
以上、メリット・デメリットでした。
参考になれば幸いです。
卓上ボールの使い方
HiKOKI 卓上ボール盤 B 23S で説明したいと思います。
■ 各部の名称
各メーカーや種類によって多少の違いがあると思いますが、概ねこのようになっています。
■ 別売部品
卓上ドリルで一番利用されているドリルチャックやチャックハンドルが、売りになっています。
上の写真を参考にされて、ドリルチャックを購入されてくださいね。
ドリルチャックは、太いサイズまで入るのがオススメです。
■ すえ付け
13.5mmの穴が4カ所あいています。
その穴に12mmのボルトで固定します。
斜めにならないように設置してくださいね。
■ 使用前の点検
1 スイッチが切れている事を確かめる。
スイッチがOFFになっているか確認してください。
2 電源を確かめる。
電源の種類でも記載していますが、電源の種類には単相100Vと三相200Vがあります。
購入する前には確認されるようにしてくださいね。
3 コンセントを確かめる。
コンセントの形状とプラグの形状を確認してください。
コンセントの種類が数種類あるので、違うタイプを付けてしまうとコンセントにさす事ができません。
4 回転方向を確かめる。
単相100Vの場合は、特に確認する必要はありませんが、三相200Vの場合は、確認する必要があります。
接続の仕方によって、正回転と逆回転になってしまいますので、電気工事士に頼まれてくださいね。
■ 工具の取付け・取りはずし
▪ 取付け
ドリルを直接取付ける事も可能ですが、私のオススメはドリルチャックです。
ドリルチャックを取付ける事で、イロイロなサイズのドリルに交換するのが簡単になります。
▪ ドリルチャックの取付け方
1 ドリルチャックの先端をひっこめる。
先端の爪を最大まで開きます。
開くと先端がひっこみます。
2 チャックアーバにドリルチャックを強くさす。
奥まで差し込みます。
3 プラスチックハンマでドリルチャックの頭をたたく。
手で入れただけでは最後まで入らないので、プラスチックハンマで軽く叩いてください。
▪ 取りはずし(ドリルチャックをはずす場合)
1 スピンドルを50mmさげる。
ドリルハンドルを回し50mm程度下に下げます。
クウイルが見えるまで下げてください。
2 スピンドルを固定する。
ストッパピンで固定します。
3 穴を合わせる。
スピンドルを回転させて、スピンドルとクウイルの穴を合わせます。
4 コッタ穴にコッタを入れてハンマで叩く。
プラスチックハンマで叩いてください。
金属のハンマよりプラスチックの方がいいです。
▪ 取りはずし(チャックアーバをはずす場合)
1 ドリルチャックの先端をひっこめる。
ドリルチャックの先端を開く方向にすると、先端がひっこみます。
2 鉄の棒をさす。
適度な長さの鉄の棒をさしてください。
3 ハンマで叩く。
ハンマで叩いてください。
■ 送り量の調整
1 ナットをゆるめる。
2 スケール(A)を調整する。
ストロークの長さが調整できます。
(例)
スケール(A)を50mmに設定した場合
ドリルハンドルが50mmしか下がらなくなります。
同じ深さで穴を開けたい場合に、正確に同じ深さに穴があけられます。
■ テーブルの調整
1 クランプスクリュをゆるめる。
ゆるむ方向に回してゆるめます。
2 テーブルハンドルを回す。
・ 上:時計回りに回転させます。
・ 下:反時計回りに回転させます。
あけやすい高さに調整してください。
3 クランプスクリュをしめる。
しまる方向に回して固定します。
必ず固定してから使用するようにしてくださいね。
■ Vベルトの張り方
1 ロッド固定用ちょうボルトをゆるめる。
反時計回りに回してゆるめます。
2 Vベルトを張る。
ベルト張り用ハンドルを張る方向に回してVベルトを張ります。
強く張るとベアリングの故障の原因にもなるので、適度に張ってください。
3 ロッド固定用ちょうボルトをしめる。
時計回りに回転させて固定します。
しっかりと固定してください。
■ スピンドル回転数の調整
Vベルトとプーリーとの組み合わせで、4段階も変えられます。
上の表にあるようにベルトをかけることで、回転数の調整ができますよ。
下の、ドリル径とスピンドル回転数の選び方を参考にされると良いと思います。
■ ドリル径とスピンドル回転数の選び方
材質とドリルの径にあった回転数にするのがオススメです。
上の写真を参考に、スピンドル回転数を調整してください。
■ 使い方(穴をあける)
1 工具を取付ける。
ドリルなどの先端工具を取付けます。
2 回転数を設定する。
ドリル径とスピンドル回転数の選び方で回転数を決めます。
3 ポンチングする。
センターがズレないように、センターポンチでポンチングします。
4 位置決めをする。
テーブルの高さを調整します。
加工物に合わせて高さを調整します。
5 スイッチをONする。
プラグをコンセントにさし、スイッチをONします。
6 穴をあける。
ドリルハンドルを下ろし、穴をあけます。
加工物が硬い素材の場合には、切削油を注ぐとドリルが傷みにくいです。
7 スイッチをOFFにする。
作業が終わったら、スイッチをOFFにします。
■ 注意する事
・ ドリルチャック
先端工具を取付ける場合には、ドリルチャックの3カ所を均等に締付けてください。
1カ所や2カ所締付けただけでは、先端工具が落下してしまう恐れがあるので、必ず3カ所とも締付けるようにしてくださいね。
・ Vベルト
Vベルトを張る場合には、張り過ぎに注意してください。
強く張り過ぎると、モーターやベアリングの不具合の原因になります。
Vベルトの間に指が2~3本入る程度が適当です。
・ ロッド固定用ちょうボルト
十分に締付けてください。
・ ドリルチャックの脱着
ドリルチャック周辺を叩く時には、プラスチックハンマが便利です。
金属のハンマだと、ドリルチャック等が壊れてしまう可能性があるので、必ずプラスチックハンマを利用するようにしてくださいね。
以上、卓上ボール盤の使い方でした。
参考になれば幸いです。
私のオススメ工具
■ 大型
工場などで使用するタイプです。
とても重いので移動させるのは困難ですよ。
アンカーボルトで固定させてご使用ください。
■ 小型
20kgと卓上ボール盤の中では軽いタイプなので、移動して使いたい方にオススメです。
まとめ
今回は卓上ボールを紹介しました。
安全に大きな穴があけられる工具です。
Vベルトをかけかえる事で、数種類の回転が調整できますよ。
電気ドリル等よりも安全に且つ正確に穴があけられると思います。
工場等で穴の加工をする場合には、とても便利だと思います。
検討してみてはいかがでしょうか。
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