こんにちは、長島です。
今回は『絶縁服』を紹介します。
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用する保護具です。
感電防止する保護具として
・ 低圧用・高圧用ゴム手袋
・ 絶縁ゴム長靴
・ 絶縁服
・ 絶縁ズボン
・ 耐電シート
・ 耐電ゴムシート
主に、上記6種類があります。
今回は、絶縁服について紹介しようと思います。
絶縁服を選ぶ時の参考にしてくださいね。
絶縁服とは
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用する保護服です。
作業者が感電しないように着用します。
絶縁服だけでは保護する事ができません。
必ずゴム手袋や絶縁ゴム長靴と併用して使用するようにしてくださいね。
絶縁服の種類
■ メーカー
・ ASAHI(渡部工業株式会社)
・ YOTSUGI(ヨツギ株式会社)
他にもあると思いますが、絶縁服を販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 電圧
・ 低圧用
・ 高圧用
低圧用と高圧用の2種類があります。
絶縁服は高圧用の種類が多いです。
低圧用もありますが、高圧用と比べて種類が少ないです。
■ 絶縁服のタイプ
・ 腕型
手首から肘までを守ってくれる絶縁服です。
このタイプは低圧用だけです。
高圧用ではないので、高圧電気回路での使用は止めてくださいね。
・ 一般型
胸から上の手首まで守ってくれる絶縁服です。
一般的に多いタイプが、この一般型になっています。
低圧用と高圧用の2種類があります。
このタイプは見ての通り、お腹部分がむき出しになっています。
不安に感じられる場合には、ベスト型と併用して使用するとより安全です。
・ ジャンバー型
上半身全てを守ってくれる絶縁服です。
低圧用と高圧用の2種類があります。
絶縁されている部分が広いので1番安全です。
・ ベスト型
胸から下を守ってくれる絶縁服です。
このタイプは高圧用だけになっています。
一般型と併用して使用するようにしてくださいね。
■ サイズ
・ 特々大
・ 特大
・ 大
・ 中
・ 小
上記、5種類があります。
メーカーや種類によって多少の違いがありますが、概ねこのサイズになっています。
■ 材質と厚さ
・ E.V.A.C - 高圧用
・ P.V.C - 低圧用
材質は上記2種類があります。
E.V.A.Cは、エチレン・酢酸ビニル樹脂
P.V.Cは、ポリ塩化ビニル(塩ビ)
絶縁服に使用されている材質です。
厚さも、低圧用が06mmに対して、高圧用が1.3mmもあります。
2倍の厚さがあります。
厚い方が絶縁性に優れていますので、高圧にも耐えられますよ。
■ 耐電圧
・ 低圧用
交流 AC300V以下
直流 DC750V以下
・ 高圧用
交流 AC7000V以下
直流 DC7000V以下
低圧用と高圧用では使用できる電圧が違います。
低圧用も低圧用ゴム手袋とは違い使用できる電圧が低いです。
勘違いされないでくださいね。
高圧用は、交流・直流とも7000V以下になっています。
高圧用は、他の絶縁工具と同じ耐電圧です。
■ 試験電圧
・ 低圧用 1分間、3000V
・ 高圧用 1分間、20000V
商品が完成後、絶縁試験が実施されています。
低圧用は、3000ボルトの電圧を1分間流して試験しています。
高圧用だと、2万ボルトの電圧を1分間流して試験しています。
その試験に合格された商品だけが販売されています。
定期自主検査
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用工具では、種類によって定期自主検査が必要な絶縁工具があります。
以下の自主検査が必要です。
第351条(絶縁用保護具等の定期自主検査)
事業者は、第348条第1項各号に掲げる絶縁用保護具等(同項第5号に掲げるものにあっては、交流で300ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるものに限る。以下のこの条において同じ。)については6月以内ごとに1回、定期に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。
ただし、6月を超える期間使用しない絶縁用保護具等の当該使用しない期間においては、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の絶縁用保護具等については、その使用を再び開始する際に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。
3 事業者は、第1項又は第2項の自主検査の結果、当該絶縁用保護具等に異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ、これらを使用してはならない。
4 事業者は、第1項又は第2項の自主検査を行ったときに、次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
労働安全衛生規則 第351条(絶縁用保護具等の定期自主検査)に記載しています。
定期自主検査の対象になっている絶縁服を購入した時には、必ず実施するようにしましょうね。
メーカーでは、定期自主検査に該当しない絶縁服でも、定期自主検査同様の検査を推奨しているみたいです。
定期自主検査する義務はないでしょうが、実施することに越したことはないと感じています。
■ 絶縁性能試験基準
厚生労働省安全衛生規則安全基準第5章(電気による危険の防止)第5節(管理)第351条「絶縁用保護具等の定期自主検査」に基づき活線作業及び活線近接作業に使用する絶縁用保護具及び防具等の定期的試験(6ヶ月毎に一度)を行うことにより、安全性を検証するための絶縁性能試験を確かめる事となっています。
製造元のメーカーで検査してくれますよ。
① 外観検査
・ キズ
・ 汚れ
・ 劣化等
目視により検査します。
② 耐電圧検査
・ 水中試験
・ 気中検査
規定電圧で1分間耐えられる試験をします。
使用電圧値が7,000V以下の場合、10,000V以上で1分間
使用電圧値が3,500V以下の場合、6,000V以上で1分間
使用電圧値が600V以下の場合、1,500V以上で1分間
③ 耐用年数超過検査
・ 絶縁用保護具:5年(手袋・長靴等、身体に着用するもの)
・ 絶縁用防具:10年(ゴムシールド管等、充電部に直接装着するもの)
・ 絶縁用防護具:10年(電柱防護帯等)
購入日より、耐用年数が過ぎていないか検査します。
この検査に合格された絶縁用保護具にだけ、試験合格証と試験成績書がもらえます。
試験合格証は、絶縁用保護具に貼り付け、試験成績書は事務所にて保管する必要があります。
絶縁用保護具や防具をお持ちの方や、これから購入しようと検討されている方もこのような検査があると、知っておいた方が良さそうです。
絶縁服のメリット・デメリット
一般型とジャンバー型で比べてみました。
■ 一般型
▪ メリット
・ 動きやすい。
胸から下がないので動きやすいと思います。
▪ デメリット
・ 保護している範囲が狭い。
胸から腕にかけて保護している保護服です。
お腹あたりがむき出しになっているので、使用する時には注意されてくださいね。
■ ジャンバー型
▪ メリット
・ 一般型よりも安全。
保護している範囲が広いので、一般型よりも安全です。
上半身すべて保護しています。
▪ デメリット
・ 重い。
サイズにもよりますが、約2kgします。
ちょっと重たい気がします。
素材も硬いので動きづらいと思います。
以上、絶縁服のメリット・デメリットでした。
一般型もジャンバー型も、低圧用と高圧用の2種類があります。
低圧用は低圧電気回路だけで使用できるタイプになっています。
間違っても高圧で使用しないでくださいね。
高圧用だと、低圧用でも兼用する事が可能です。
どちらか1つを検討するなら、低圧も高圧も兼用できる、高圧用がオススメです。
絶縁服の使い方
ジャンバーみたいに着るだけです。
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用する保護服なので、高圧電気回路でも停電させてしまえば絶縁服を脱げますよ。
低圧用・高圧用ゴム手袋でも紹介しましたが、キュービクル内で機器の交換や点検で、高圧電気回路を止める手順を紹介しようと思います。
① 保護具を着用する。
高圧用ゴム手袋、絶縁ゴム長靴、絶縁服、絶縁ズボンを着用します。
この4点セットがあると安心です。
② 検電する。
キュービクル内の高圧電気回路を、高圧検電器で検電します。
高圧電気回路を遮断する前には必ず検電して、電気があることを確認します。
高圧電気回路に電気がある状態で検電する事で、検電器のチェックも兼ねる事ができますよ。
③ 負荷側のブレーカーをOFFにする。
PASを開放する前に、負荷側に送っている電気を遮断してください。
④ PASを開放する。
PASをOFFにします。
⑤ 検電する。
PASを開放後、再び検電します。
電気がない事を確認します。
⑥ VCBを開放する。
VCBをOFFにします。
⑦ DSを開放する。
DSをOFFにします。
⑧ 接地を取る。
短絡接地をDSの一次側に取付けます。
高圧電気回路には、高圧電気の残留が残っています。
必ず接地を取り、電気を対地に流してくださいね。
⑨ 保護具を脱ぐ。
以上、保護服を着用しての検電する手順でした。
高圧電気回路で検電する時には、最低でも2回は検電するようにしてください。
1回目は。電気回路が活きた状態
2回目は、電気回路がない状態
この2回をする事で、検電器のチェックも兼ねる事ができますよ。
もし活線近接作業の場合には、保護服を着用したままの作業になります。
耐電シートや耐電ゴムシートなどで保護したからと言って安全ではありません。
絶縁服や絶縁ズボンを脱がないようにしてくださいね。
私のオススメ工具
まとめ
今回は絶縁服を紹介しました。
低圧電気回路や高圧電気回路での活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用する絶縁服です。
・ 腕型
・ 一般型
・ ジャンバー型
・ ベスト型
上記4種類があります。
絶縁工具は定期自主検査が必要なタイプがあるので、それに該当するタイプを購入した場合には、定期自主検査を実施するようにしてくださいね。
自分の身を守る為に必要な自主検査です。
必ず実施するようにしてくださいね。
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