こんにちは、長島です。
今回は『ケーブルグリップ』を紹介します。
幹線ケーブルと呼ばれている、大きなサイズのケーブルに取付け、配線作業や入線作業時に使用する工具です。
工具を選ぶ時の参考にしてくださいね。
ケーブルグリップとは
大きなサイズのケーブルを、配線叉は、入線する時に使用する工具です。
ケーブルラック等にケーブルを配線する時には、必ず使用する工具ですよ。
子供のおもちゃにある、「かみつきへび」のような工具です。
かみつきへびは指を入れて引っ張ると抜けませんよね。
ケーブルグリップも同じ原理で、ケーブルグリップの中にケーブルを入れて引っ張ると、ケーブルがケーブルグリップに引っ張られて、配線できるようになっています。
大きいサイズのケーブルを配線する時には必ず使用しています。
ケーブルグリップの末端はバインドするようにしてくださいね。
ケーブルグリップは、一方向に引っ張るだけなら抜ける事はありませんが、ケーブル側から押すとケーブルグリップが緩むことがあります。
ケーブルグリップが緩むと、ケーブルが外れてしまう可能性があるので、抜け止め防止の為に、必ずバインドするようにしてくださいね。
▪ バインドとは
電線やバインド線で縛る行為です。
電気工事屋さんの専門用語かも知れませんね。
ケーブルグリップの種類
■ メーカー
・ DENSAN(ジェフコム株式会社)
・ MARVEL(株式会社マーベル)
他にも沢山あると思いますが、ケーブルグリップを販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 素材
・ スチール製
・ ステンレス製
・ プラスチック製
一般的にはスチール製を使用している方が多いと思います。
スチール製が種類も多くなっています。
■ 種類
・ 先端用
・ 中間用
ケーブルグリップと言えば先端用です。
ケーブルグリップは迷わず先端用を購入してくださいね。
通常は先端用しか使用しませんが、大きめのサイズを配線する場合に中間用を使用するみたいです。
私は使った事がないので分からないのですが、ケーブルの中間からロープで引っ張る時に取付けるのが中間用です。
ただし、中間用なのでケーブルグリップを編んで使用する事になると思います。
ケーブルグリップを編んだり、解いたりする作業は面倒かも知れないので、そこだけはよく検討されてくださいね。
下記、写真のようなイメージになります。
中間用は必要に応じて検討して良いと思います。
使用頻度としては少ないと感じています。
■ ケーブルグリップ使用ケーブル径
・ 5㎟~150㎟
参考までにケーブルの外装を記載しています。
ケーブルグリップの最小サイズが5㎟なので、上記のリストからすると、IVケーブルの8㎟から使用できる事になります。
屋内配線で使用するサイズは、200㎟以下が多いです。
最初に検討するのは200㎟以下にして、それ以上を使用したい場合は、必要に応じて検討しても良いと考えます。
上の表が分かりにくい方には、こちらをご覧ください。
固定したいケーブルのサイズに合わせて、ケーブルグリップのケーブル径を選ぶと良いですよ。
■ ソックスの長さと全長
・ 130mm~1060mm
取付けられるサイズによって長さがあります。
小さなサイズ程ソックスの長さも短くなり、サイズが大きくなればなるほど、長さも長くなります。
▪ ソックスとは
ケーブルグリップの網の長さです。
全長はソックスの長さプラス50mm~60mm程度くらいです。
あまり気にするところではないですね。
■ 引張荷重
・ 25kg~3000kg
ソックスの素材に合わせて引張荷重が変わります。
使い捨てタイプやプラスチック製が弱く、スチール製やステンレス製は、引張荷重が大きいです。
(例)スチール製で14㎟~150㎟の場合
適用ケーブル(例) | 引張荷重kN(kgf) |
14~22 | 5.9(600) |
38~60 | 7.8(800) |
100~150 | 14.7(1500) |
14㎟~22㎟でも、引張荷重が600kgもあります。
少々の事ではケーブルグリップが壊れる事はないでしょうね。
安心して使用できると思います。
■ 便利な機能
・ より戻し
より戻しは、先端がクルクルと回転する機能です。
ロープで引っ張った時の、ロープのヨリで、ケーブルがクルクルと回転しないようにするようになっています。
今までは、ロープとケーブルグリップの間により戻しを付けて今しがた、最近では最初から、より戻しを搭載したケーブルグリップが販売されています。
より戻しの先端は、丸くなっているので、周囲に引っ掛からないような工夫もされています。
・ スムースガイド
スムースガイドはプラスチック製になっています。
CVTや複数のケーブルを挿入しても、ケーブル先端が覆われるので引っ掛りにくくなっています。
・ ソフトカバー付き
ソフトカバーはシリコンゴム製です。
シリコンは滑りもよく通線がスムーズです。
スムースガイド同様に、引っ掛かりにくくなっています。
ケーブルグリップのメリット・デメリット
ケーブルラック上での配線で、ケーブルグリップを使わなかった場合と比べてみました。
■ メリット
・ ケーブルを固定するのが早い。
ケーブルグリップを広げて、ケーブルを差し込むだけなので早いです。
バインドは必ずしてくださいね。
・ 抜けにくい。
ケーブルにロープを固定すると簡単に抜けてしまう事があります。
ケーブルグリップを利用すると簡単には抜けませんよ。
・ ラックのケタに引っ掛かりにくい。
スムースガイド付きやソフトカバー付きなど、引っ掛かりにくい構造をしたケーブルグリップも販売されています。
これは最近販売されているタイプなので、昔からのケーブルグリップにはない構造の物です。
現在お持ちのケーブルグリップでケタに引っ掛からないようにするためには、ケーブルグリップにケーブルを最後まで入れないで4~5cmほど空けて固定してみてください。
ケーブルグリップに余裕を持たせる事で、引っ掛かりにくくなりますよ。
■ デメリット
・ 数種類が必要。
本来なら、ケーブルのサイズに合わせてケーブルグリップを交換する必要があります。
しかし、各サイズのケーブルグリップを準備するのは大変ですよね。
「大は小を兼ねる」と言う、ことわざがあります。
ケーブルグリップもこのことわざ通り、少し大きめのサイズのケーブルグリップを使用しても、バインドをしっかりとしておけば抜ける事はありませんよ。
バインドは、ケーブルグリップの根元だけをするのが通常ですが、大きなサイズのケーブルグリップを使う場合は、抜け止め防止用に、ケーブルグリップの中央部分にもバインドをすると、より堅固に抜け止め防止になります。
ケーブルグリップの使い方
■ ケーブルをケーブルグリップに固定する方法を説明します。
① ケーブルの保護キャップを外す。
サイズの大きい新品のケーブルには、先端が傷つかないように保護キャップが付けられています。
保護キャップが付いていると、ケーブルの先端が太くなるので、保護キャップを外してください。
② ケーブルの先端をテーピングする。
ケーブルグリップに入れやすいように、先端をテーピングします。
③ ケーブルグリップを広げる。
ケーブルグリップの根元を、先端側に押すとケーブルグリップが広がります。
④ ケーブルを挿入する。
ケーブルグリップにケーブルを入れます。
根元を抑え先端側を押すとケーブルグリップが広がりますので、広げながら入れると入れやすいですよ。
⑤ バインドする。
ケーブルグリップの口元に、バインド線またはIV電線でバインドします。
網の間に2~3カ所と押して、ペンチで縛ります。
バインド線の太さは、網が緩まないようにするだけなので、細い物でも問題ありませんよ。
バインドした部分はそのままでも良いですが、少しでも引っ掛かりが少ないように、テープ巻きする事も多いです。
以上、ケーブルグリップの固定方法でした。
ケーブルグリップは、ケーブル敷設時に使用する工具です。
前進する場合は、ケーブルクリップがケーブルを締めるので、抜けない構造になっています。
しかし、後ろから押すとケーブルクリップが緩み抜ける構造になっています。
ケーブル敷設時に、ケーブルを引っ張ったり、押し返したりしていると、たまにですが、ケーブルクリップから抜ける事があります。
ケーブルラック等で、目に見えている場所では簡単にやり替えができますが、配管等で見えない場合だと何処で抜けたのかわかりませんよね。
一度外れると面倒なので、ケーブルクリップを使用される場合は、面倒くさがらずにバインドするようにしてくださいね。
サイズは小さいものから大きいものまで沢山あります。
ケーブルのサイズに合ったケーブルグリップを使用する事をオススメします。
■ ワンポイントアドバイス
既設のケーブルラック等に、ケーブルを追加配線する事があると思います。
ケーブルグリップはワイヤーで編んだ工具なので、ワイヤーが劣化している場合は、ワイヤーの先端が飛び出ている事があります。
既存のケーブルをワイヤーで痛めないようにする方法として、ビニルテープや防食テープ等をケーブルグリップに巻きます。
このひと手間をすることで、既存のケーブルに傷を付けなくできます。
面倒かも知れませんが、試してみてくださいね。
私のオススメ工具
■ ケーブルグリップ 本体
■ あると便利な工具
まとめ
今回はケーブルグリップを紹介しました。
サイズの大きいケーブルを配線したり、入線したりする時に使用する便利な工具です。
CVやCVTと呼ばれる、太いサイズのケーブルに使用します。
ケーブルにロープを直接取付けると、ロープとケーブルの繋ぎ目が大きくなり配線や入線がしにくくなります。
それに頑丈に固定しても抜けてしまう可能性もあります。
私は電気工事をしていますが、必ず使用していますよ。
持っていない方は検討してみてはいかがでしょうか。
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