こんにちは、長島です。
今回は『低圧用・高圧用ゴム手袋』を紹介します。
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用する保護具です。
感電防止する保護具として
・ 低圧用・高圧用ゴム手袋
・ 絶縁ゴム長靴
・ 絶縁服
・ 絶縁ズボン
・ 耐電シート
・ 耐電ゴムシート
主に、上記6種類があります。
今回は、低圧・高圧ゴム手袋について紹介しようと思います。
低圧・高圧ゴム手袋を選ぶ時の参考にしてくださいね。
低圧用・高圧用ゴム手袋とは
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用するゴム製の手袋です。
低圧用ゴム手袋と高圧用ゴム手袋の2種類があります。
・ 低圧用ゴム手袋
交流 AC600V以下
直流 DC750V以下
・ 高圧用ゴム手袋
交流 AC7000V以下
直流 DC7000V以下
交流をACで表示し、直流はDCで表示しています。
なぜゴム手袋を使用するのかと言うと、高圧電気回路や低圧電気回路での活線作業、活線近接作業時に、作業者を感電などの危険から守るためです。
低圧電気回路でも危険なので、高圧電気回路だともっと危険です。
高圧電気回路が活きたまま、活線で作業してしまうと死につながります。
その危険から作業者を守る為に、低圧用・高圧用ゴム手袋があります。
高圧用ゴム手袋を使用する時には、保護革手袋の併用が必要です。
専用の保護革手袋がありますが、ちょっと高価です。
私の知っている電気工事の会社では、溶接用の革手袋を使用されていますよ。
低圧用・高圧用ゴム手袋の種類
■ メーカー
・ ASAHI(渡部工業株式会社)
・ DENSAN(ジェフコム株式会社)
・ Midori(ミドリ安全)
・ YOTSUGI(ヨツギ株式会社)
他にも沢山あると思いますが、低圧用・高圧用ゴム手袋を販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 使用電圧
・ 低圧用ゴム手袋
交流(AC)600V以下
直流(DC)750V以下
使用できる電圧です。
タイプによっては、交流・直流ともに300V以下までのタイプがあります。
300V以下だと、400Vの低圧電気回路で使用できない場合も考えられるので、購入するなら
交流だと600V以下、直流だと750V以下までのタイプがオススメです。
・ 高圧用ゴム手袋
交流(AC)7000V以下
直流(DC)7000V以下
国内用に販売されている一般的な電圧です。
海外に輸出するように作られているゴム手袋は、日本の規格よりも大きな電圧に耐えられるようになっています。
・ 低圧用だと、500V・1000V以下
・ 高圧用だと、7500V以下・17000V以下・26500V以下・36000V以下
このような電圧に耐えられる低圧用・高圧用ゴム手袋があります。
カタログを見ていると、『本製品は日本国内では活線作業に使用する事ができません。』と記載しています。
不思議でならなかったので、ヨツギ株式会社に聞いてみました。
■ YOTSUGI Q&A
Q 海外輸出用の低圧用・高圧用ゴム手袋が
『本製品は日本国内では活線作業に使用する事ができません。』
と記載していますが、なぜでしょうか。
耐電圧が高いのに使えない理由を教えてください。
A 主にEUの方で使用できるように作られた商品ですので、使用する事ができません。
耐電圧だけで見ると海外輸出用のゴム手袋の方が高く作られています。
ですが日本で使用できる商品は、JIS規格に則って作られています。
海外輸出用の低圧用・高圧用ゴム手袋は、JIS規格に則って作られていないので、使用する事が認められていないのが現状です。
ですので、日本で使用する場合には、JIS規格に沿って作られている高圧用ゴム手袋をご使用ください。
以上、YOTSUGI Q&A でした。
丁寧に回答して頂けました。
ヨツギ株式会社の担当の方、ありがとうございました。
耐電圧だけで判断してはダメなんでしょね。
日本で使用する場合には、JIS規格に合う商品を選ぶようにしましょうね。
■ 材質
・ 天然ゴム
低圧用ゴム手袋も高圧用ゴム手袋も材質は、天然ゴムが多いです。
天然ゴムは、柔軟で電気絶縁性に優れています。
■ サイズと長さ
▪ 低圧用ゴム手袋
・ 特大 - 270mm~290mm
・ 大 - 270mm~285mm
・ 中 - 270mm~280mm
・ 小 - 270mm~275mm
多少の違いがありますが、長さはほとんど同じです。
高圧ゴム手袋よりも短くなっています。
手首までスッポリと入る長さです。
▪ 高圧用ゴム手袋
・ 特大 - 375mm~455mm
・ 大 - 375mm~455mm
・ 中 - 375mm~455mm
・ 小 - 375mm~455mm
サイズの違いがありますが、長さは全て同じです。
肘の手前くらいまであります。
上記は、特大・大・中・小の表示にしていますが、他にもLL・L・M・Sで表示しているタイプもあります。
その他にも、インチ表示しているタイプもあります。
インチ表示しているタイプは、国外に輸出用に作られている低圧用・高圧用ゴム手袋です。
■ 便利な機能
▪ 滑り止め機能
滑り止め機能は、低圧用ゴム手袋だけにある装備です。
高圧用ゴム手袋にありません。
滑り止めが付いていないのが一般的ですが、YOTSUGIの低圧発砲手袋のシリーズには、滑り止めが付いているタイプもあります。
通常の低圧用ゴム手袋は、ツルツルしていますが、滑り止め機能がある低圧用ゴム手袋は、ザラザラした感じになっています。
ただし、耐電圧が交流・直流とも300Vになっています。
300以下で使用するようにしてくださいね。
▪ 袖口が斜めカット
高圧用ゴム手袋だけにある機能です。
手を入れる袖口が、斜めにカットされています。
袖口が斜めにカットされているので、肘を曲げた時に高圧用ゴム手袋の袖口が、腕にあたりにくい構造になっています。
■ 保護手袋
高圧用ゴム手袋を使用する時には、保護手袋も必要です。
高圧用ゴム手袋に穴が空かないようにする為には、保護手袋をしておいた方がよさそうです。
私の知っている電気工事の会社では、溶接用の革手袋を使用されていますよ。
低圧用・高圧用ゴム手袋で1番危険なのが、穴が空いている状態で使用する事です。
穴が空いている状態で使用すると、感電してしまいますので、穴が空かないように気を付けて作業するようにしてください。
使用する前には、ピンホールチェックをするようにしてください。
定期自主検査
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用工具では、種類によって定期自主検査が必要な絶縁工具があります。
以下の自主検査が必要です。
第351条(絶縁用保護具等の定期自主検査)
事業者は、第348条第1項各号に掲げる絶縁用保護具等(同項第5号に掲げるものにあっては、交流で300ボルトを超える低圧の充電電路に対して用いられるものに限る。以下のこの条において同じ。)については6月以内ごとに1回、定期に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。
ただし、6月を超える期間使用しない絶縁用保護具等の当該使用しない期間においては、この限りでない。
2 事業者は、前項ただし書の絶縁用保護具等については、その使用を再び開始する際に、その絶縁性能について自主検査を行わなければならない。
3 事業者は、第1項又は第2項の自主検査の結果、当該絶縁用保護具等に異常を認めたときは、補修その他必要な措置を講じた後でなければ、これらを使用してはならない。
4 事業者は、第1項又は第2項の自主検査を行ったときに、次の事項を記録し、これを3年間保存しなければならない。
一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
労働安全衛生規則 第351条(絶縁用保護具等の定期自主検査)に記載しています。
定期自主検査の対象になっている低圧・高圧ゴム手袋を購入した時には、必ず実施するようにしましょうね。
メーカーでは、定期自主検査に該当しない低圧・高圧ゴム手袋でも、定期自主検査同様の検査を推奨しているみたいです。
定期自主検査する義務はないでしょうが、実施することに越したことはないと感じています。
■ 絶縁性能試験基準
厚生労働省安全衛生規則安全基準第5章(電気による危険の防止)第5節(管理)第351条「絶縁用保護具等の定期自主検査」に基づき活線作業及び活線近接作業に使用する絶縁用保護具及び防具等の定期的試験(6ヶ月毎に一度)を行うことにより、安全性を検証するための絶縁性能試験を確かめる事となっています。
製造元のメーカーで検査してくれますよ。
① 外観検査
・ キズ
・ 汚れ
・ 劣化等
目視により検査します。
② 耐電圧検査
・ 水中試験
・ 気中検査
規定電圧で1分間耐えられる試験をします。
使用電圧値が7,000V以下の場合、10,000V以上で1分間
使用電圧値が3,500V以下の場合、6,000V以上で1分間
使用電圧値が600V以下の場合、1,500V以上で1分間
③ 耐用年数超過検査
・ 絶縁用保護具:5年(手袋・長靴等、身体に着用するもの)
・ 絶縁用防具:10年(ゴムシールド管等、充電部に直接装着するもの)
・ 絶縁用防護具:10年(電柱防護帯等)
購入日より、耐用年数が過ぎていないか検査します。
この検査に合格された絶縁用保護具にだけ、試験合格証と試験成績書がもらえます。
試験合格証は、絶縁用保護具に貼り付け、試験成績書は事務所にて保管する必要があります。
絶縁用保護具や防具をお持ちの方や、これから購入しようと検討されている方もこのような検査があると、知っておいた方が良さそうです。
低圧用・高圧用ゴム手袋のメリット・デメリット
低圧用ゴム手袋と高圧用ゴム手袋を比べてみました。
■ 低圧用ゴム手袋
▪ メリット
・ 動きやすい。
ゴム手袋が短いので動きやすいです。
▪ デメリット
・ 高圧電気回路で使用できない。
高圧電気回路では使用する事ができません。
必ず低圧電気回路だけで使用するようにしてください。
・ 長さが短い。
手首までしかありません。
安全の為に腕部分まで保護したい場合には、低圧用腕カバーもしくは絶縁服を着用してください。
■ 高圧用
▪ メリット
・ 低圧でも使用できる。
低圧・高圧電気回路どちらでも使用できます。
高圧電気回路用で作られているので、低圧電気回路なら問題なく使用できます。
▪ デメリット
・ 保護手袋が必要。
高圧用ゴム手袋の保護とおして、保護手袋を使用してください。
安全且つ長い期間使用できるためにも、保護手袋を使用されて下さいね。
以上、低圧・高圧ゴム手袋のメリット・デメリットでした。
私の個人的な感覚だと、高圧用ゴム手袋を兼用して使用するよりも、使い分けた方がよいと感じています。
交流 600V以下の場合には、低圧用ゴム手袋
交流 7000V以下の場合には、高圧用ゴム手袋
この2種類を持っておいた方が良いのではないでしょか。
高圧用ゴム手袋から購入するのがオススメですが、高圧電気回路を扱わない方には、低圧用ゴム手袋だけで十分だと思います。
低圧・高圧ゴム手袋の使い方
高圧ゴム手袋の使い方について説明します。
高圧ゴム手袋は、主に高圧検電器で検電する時や、遮断器を入切する時に使用しています。
■ 検電する場合
キュービクル内で機器の交換や点検で、高圧電気回路を止める場合で説明したいと思います。
① ピンホールチェックをする。
高圧手袋を使用する前には、必ずピンホールチェックをしてください。
② 高圧用ゴム手袋を着用する。
保護手袋を取付けた高圧用ゴム手袋を着用してください。
③ 検電する。
キュービクル内の高圧電気回路を、高圧検電器で検電します。
高圧電気回路を遮断する前には必ず検電して、電気があることを確認します。
高圧電気回路に電気がある状態で検電する事で、検電器のチェックも兼ねる事ができますよ。
④ 負荷側のブレーカーをOFFにする。
PASを開放する前に、負荷側に送っている電気を遮断してください。
⑤ PASを開放する。
PASをOFFにします。
⑥ 検電する。
PASを開放後、再び検電します。
電気がない事を確認します。
⑦ VCBを開放する。
VCBをOFFにします。
⑧ DSを開放する。
DSをOFFにします。
⑨ 接地を取る。
短絡接地をDSの一次側に取付けます。
高圧電気回路には、高圧電気の残留が残っています。
必ず接地を取り、電気を対地に流してくださいね。
⑩ 高圧用ゴム手袋を外す。
以上、高圧ゴム手袋を使用して検電する手順でした。
高圧電気回路で検電する時には、最低でも2回は検電するようにしてください。
1回目は。電気回路が活きた状態
2回目は、電気回路がない状態
検電確認を2回する事で、検電器のチェックも兼ねる事ができますよ。
■ ピンホールチェックやり方
高圧用ゴム手袋の場合
① 高圧用ゴム手袋を膨らませる。
風船を膨らませる要領で膨らませます。
元々が膨らんでいるので、あまり空気が入らないと思います。
② 口元を縛る。
手で口元を握ります。
空気が漏れないようにギュッと握ってください。
③ 空気が漏れていないか確認する。
空気が漏れていないか音で確認してください。
もし分かりにくい場合には、バケツに水を入れ、その中にゴム手袋を入れます。
ブクブクと空気が漏れなければ大丈夫です。
以上、ピンホールチェックやり方でした。
低圧用ゴム手袋も同様にピンホールチェックしてくださいね。
作業する前には、必ず確認するようにしましょうね。
高圧用ゴム手袋を利用するという事は、高圧電気回路の活線作業、又は活線近接作業をすることだと思います。
高圧手袋に穴が空いていると、とても危険で最悪の場合、死につながります。
ピンホールチェックして、穴が空いている事が確認できたら、迷わず捨ててください。
他にも、長く使用していない場合には、高圧用ゴム手袋にヒビが入っている事があります。
そのような高圧用ゴム手袋は捨ててください。
勿体ないような気がしますが、自分の身を守る為です。
躊躇せずに捨ててください。
すぐに新しい高圧用ゴム手袋に交換するようにしてくださいね。
保管する場合には、暗所で保管するようにしてください。
作業車の中に入れて保管するのはダメですよ。
毎日のように使用する場合には、仕方ないと思います。
使用する機会が少ない場合には、太陽の日があたらない涼しくて暗い場所に保管するのが、劣化しにくいと思います。
私のオススメ工具
■ 高圧用ゴム手袋
■ 低圧用ゴム手袋
■ 保護手袋
まとめ
今回は低圧用・高圧用ゴム手袋を紹介しました。
低圧電気回路や高圧電気回路で活線作業、又は活線近接作業に従事する時に使用するゴム製の手袋です。
低圧用ゴム手袋と高圧用ゴム手袋の2種類があります。
低圧用も高圧用も天然ゴムを使用しているので、柔軟で電気絶縁性に優れています。
ただし、高圧用ゴム手袋には保護手袋を利用するようにしてください。
高圧用ゴム手袋に穴があいてしまうと使用できなくなってしまいます。
必ず保護手袋をしてくださいね。
私の知っている電気工事の会社では、溶接用の革手袋を使用されていますよ。
絶縁工具は定期自主検査が必要なタイプがあるので、それに該当するタイプを購入した場合には、定期自主検査を実施する事が義務付けられています。
メーカーは、定期自主検査対象商品以外でも、定期自主検査を推奨しているみたいです。
定期自主検査は半年に1度ですが、ピンホールチェックは頻繁に行ってくださいね。
面倒だと思いますが、自分の身を守る為です。
水に浸けてまでチェックすることはしなくても、ゴム手袋を膨らませて空気が漏れていないかチェックするのは時間がかからないと思います。
必ず実施するようにしてくださいね。
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