胴綱の種類と使い方! 柱上作業で落下を防ぎ両手も使える

FUJII DENKO 胴綱




こんにちは、長島です。

今回は『胴綱』を紹介します。
柱上作業や高所での作業する時に、安全に作業できる安全工具です。

工具を選ぶ時の参考にしてくださいね。


胴綱とは

胴ベルトに装着させて使用する安全工具です。

安全帯とは違い、ロープに体を預ける事ができます。

伸縮調節器でロープの長さを調節できるので、両手を自由に使う事もできます。柱上作業では、胴綱がないと登れないので、電気工事で柱上作業時には、欠かせない工具です。

安全帯と同様に、『厚生労働省「安全帯の規格」適合品』と記載された物を購入して下さいね。
ほとんどのメーカーは『厚生労働省「安全帯の規格」適合品』と表示してあると思います。
この表示がないものを購入した場合、保険の対象外になる可能性もあるかもしれません。
確認してくださいね。

■ FUJII DENKO 胴綱 型番は不明です。

FUJII DENKO 胴綱


胴綱の種類

■ メーカー

・ DENSAN(ジェフコム株式会社)
・ FUJII DENKO(藤井電工株式会社)
・ MARVEL(株式会社マーベル)

他にもあると思いますが、胴綱を販売している代表的なメーカーを記載しています。

私はFUJII DENKOの胴綱を使用しています。

■ ロープの長さ

・ 2000
・ 3000

3000mmの長いタイプは、胴綱の根元部分に補助フックが付いています。
電柱に登る時には、胴綱のほかに補助帯も使用しないとなりません。

3000mmの胴綱には、フックの反対側に補助フックが付属品で付いています。その補助フックを補助帯として使用できます。

胴綱はロープサイズがφ16mmもあり、補助フックもφ16mmもあります。Φ16mmのロープは扱いづらいです。
胴綱の補助フックを使用するよりも、補助帯を利用した方が使いやすいと思います。

■ 伸縮調節器

▪ 伸縮調節器とは

FUJII DENKO 胴綱 伸縮調整器

黄色で囲った部分です。
胴綱の長さを調整できます。

胴綱には必ず、伸縮調節器が付いています。
伸縮調節器でロープの長さを調整する事で、体を起こしたり倒したりする事ができます。

作業しやすい角度に調整が可能です。

▪ 材質

・ スチール製
・ アルミ製

上記2種類があります。

スチール製が一般的ですが、軽量化にする為にアルミ製が登場しています。
私が使用している胴綱はスチール製です。

■ フック

▪ フックとは

FUJII DENKO 胴綱 フック

赤で囲った部分です。
D環に取付けて使用します。

▪ 材質

・ スチール製
・ アルミ製

伸縮調節器と同様に、スチール製とアルミ製があります。
一般的にはスチール製が多いですが、アルミ製もあります。

アルミ製はスチール製よりも軽量なので、腰道具を軽量化したい方にはオススメです。

私が使用した感じだと、スチール製もアルミ製も大差がないと感じるので、お好みで選んでいいと思いますよ。

■ より戻し機能

▪ より戻しとは

FUJII DENKO 胴綱 より戻し

緑で囲った部分です。
ロープとフックの間に付いています。
より戻しがある事で、フックがクルクルと回転します。

胴綱にはより戻しが、あるタイプとないタイプの2種類があります。
D環にフックをかける時には、より戻しが付いている方が簡単です。

より戻し機能は、あるタイプをオススメします。

■ ロープの種類

・ 材質 ー ナイロン
・ 編み方 ー 三つ打ち

胴綱は私が知る限り、ナイロン製の三つ打ちタイプしかありません。

安全帯のロープタイプは、三つ打ちと八つ打ちがありますが、八つ打ちは柔らかくコシがありません。

胴綱には向いていない編み方なので、使用されていないと思います。

胴綱のメリット・デメリット

安全帯と比べてみました。

■ メリット

・ ロープの長さが調整できる。
伸縮調節器を調整する事で、自分が作業しやすい角度になります。

・ ロープが太い。
ロープの太さがφ16mmもあるので安全です。
切れる事はほとんどありません。
ただし、劣化している場合は危険ですので、買い替えを検討してくださいね。

■ デメリット

・ 重い。
安全帯のロープタイプで約500gに対して、胴綱は2倍の1kg~1.5kgあります。
安全帯のロープはφ10mm程度しかありませんが、胴綱はφ16mmもあります。
ロープが太くなっているのと、大きめのフックや伸縮調節器が付いているので重くなっています。

・ ロープが長い。
ロープが長いので邪魔になる時もあると思います。
しかし、作業場所によっては、体を横(水平)になるまで倒す事があります。
長いのは仕方ないと思ってくださいね。

胴綱の使い方

胴綱は電柱に登る時には、必ず必要な工具です。
胴綱がないと電柱に登る事もできません。

胴綱があったからと言って、慣れていない方が使うのはとても危険です。
胴綱を使用した事がないのに、電柱に登っても両手を離せないと思います。

最初は、地上で練習をして、両手を電柱から外せるようになってから、電柱に登るようにしてくださいね。

私は右利きなので、右利きの方が使用した場合の手順を記載しています。

腰道具が左利き用を使用している方には、伸縮調節器やフックを取付ける位置が逆になっていると思います。
そのような場合には、右と左を逆にしてくださいね。

私もこのブログを通じて、胴綱にも左利き用があると知りました。
左利きの方は、左利き用を検討されてもいいかもしれませんね。


■ 胴綱の使い方

地上で練習方法の手順を説明します。
胴綱を使った事がない方は、地上での練習が必要です。

▪ 地上で練習方法の手順

① 腰道具を装着します。

② 腰道具に胴綱を取付けます。
V環側に伸縮調節器、D環側にフックを取付けます。
伸縮調節器はV環だけに取付ける事ができます。
D環、A環等には取付ける事はできません。

③ ロープを首の後ろにかけ、伸縮調節器のロープを引っ張り、ロープの長さを調整します。
短い場合は、伸縮調節器で緩めて、ロープを長くしてください。

④ 一旦、D環に付けているフックを外し、ロープを電柱にクルリと回して、もう一度右前のD環にフックを取付けます。
少し長めの方が、電柱に回しやすいです。

⑤ 電柱の根元に両足を置きます。
右手で電柱を持ち、体が後ろに倒れないようにしてください。

⑥ 左手で伸縮調節器側のロープを引っ張り、ロープの長さを調整します。
引っ張り過ぎた時は、伸縮調節器のロックを解除するとロープを緩める事ができます。

⑦ 胴綱に体重をかけます。
ロープを電柱にかける位置は、腰よりも少し上になるようにすると安定します。
ロープが上過ぎると、腰道具が上へ上がっていきます。
ロープが下過ぎると、腰道具が下へ下がっていきます。
ちょうどいい位置関係を体で覚えてくださいね。

⑧ 胴綱が外れないか確認してから、手を離します。

以上、地上での練習方法でした。

胴綱を外す場合は、先程の手順を逆にしてください。

最初は地上で練習して、両手が離せるようになってから電柱に登って下さいね。慣れるまでは両手を離すのが怖いと思います。
ですが、慣れてしまえば両手を外す事ができるようになります。

地上で手が離せないと柱上では、無理だと思います。
必ず地上で練習してから、柱上に登るようにしてください。

■ 胴綱の使い方(柱上作業)

柱上で練習方法の手順を説明します。
初めて電柱に登る場合は、足場ボルトの一番低い場所で練習してくださいね。

地上での練習方法と同じ事が記載しているかも知れませんが、微妙に違う所がありますので、勘違いしないように注意してくださいね。

▪ 柱上に登る時の手順

① 腰道具を装着します。

② 腰道具に胴綱を取付けます。
V環側に伸縮調節器、D環側にフックを取付けます。
伸縮調節器はV環だけに取付ける事ができます。
D環、A環等には取付ける事はできません。

③ ロープを首の後ろにかけ、伸縮調節器のロープを引っ張り、ロープの長さを調整します。
短い場合は、伸縮調節器で緩めて、ロープを長くしてください。

④ 補助帯を取付けます。
D環の後側にロック側、もう片方のフックは同じD環に付けてもいいですし、前側のD環に取り付けてもいいです。
私は、D環の後ろ側に取付けています。

⑤ 電柱にハシゴ叉は、脚立をかけます。
一番下の足場ボルトまで届くようなハシゴを、使用してください。

⑥ ハシゴを上ります。
足場ボルトが出ている所まで登ります。

⑦ 胴綱のフックを外し、ロープを電柱にクルリと回し、もう一度右前のD環にフックを取付けます。
ロープは、少し長めの方が回しやすいです。
フックをD環に固定する時は、確実に固定しているか確認してください。
服がフックに挟まると危険です。
必ず目と音で確認しましょうね。

⑧ 足場ボルトを交互に交わしながら、ゆっくりと登っていきます。
ロープの長さは、少し長めが上りやすいと思います。
体を左右に動かしながら登ると、上りやすいと思います。

⑨ 作業場所まで登ったら、補助帯を足場ボルトに固定します。
目的地まで到着したら最初に補助帯を固定し、落下防止をする必要があります。
胴綱の伸縮調節器を調整する前に、補助帯を固定するように心がけてください。

⑩ 左手で伸縮調節器側のロープを引っ張り、ロープの長さを調整します。
引っ張り過ぎた時は、伸縮調節器のロックを解除するとロープを緩める事ができます。

⑪ 胴綱に体重をかけます。
ロープを電柱にかける位置は、腰よりも少し上になるようにすると安定します。ロープが上過ぎると、腰道具が上へ上がっていきます。
ロープが下過ぎると、腰道具が下へ下がっていきます。
ちょうどいい位置関係を体で覚えてくださいね。

⑫ 胴綱が外れないか確認してから手を離します。

以上、柱上に登る時の手順でした。

柱上作業が終わって、下に降りる場合は、先程の手順を逆にしてください。
電柱に登るのは、慣れるまで時間がかかると思います。
回数を重ねることで、電柱に登るのが早くなると思います。

電柱に登る時は、早さよりも確実性が大事です。
安全第一で作業するようにしてくださいね。

ヒヤリハット

柱上作業で胴綱を使用する場合の、ヒヤリハットを紹介します。
私の知り合いから聞いた話です。
参考になれば幸いです。

▪ ヒヤリハットとは

怪我まではしていないが「ヒヤッとした・ハッとした」ことを言います。

■ 柱上作業でのヒヤリハット

柱上で外灯の交換作業をしていた時の話です。

私の知り合い(A氏)は、外灯の交換をしに、電柱に登って行きました。
作業場所に到着して、胴綱に体重をかけたとたん、胴綱のフックが外れて落下しそうになったそうです。

A氏はフックをD環にかけた時に、音だけで判断して目視確認していなかったみたいです。

体重のかけたとたん、フックが外れたので ”ヒヤッ” としたそうです。

作業服がフックとD環の間に挟まったみたいで、胴綱に体重をのせた時に、フックが外れたみたいです。

A氏は、20年以上のベテランさんで、作業にも慣れた方でした。
A氏が言うには、『いつものことだから大丈夫、自分だけは大丈夫だとは思わない方がいいよ』との事です。

私はそれを聞いてから、胴綱や安全帯を使用する場合は、目と音で確認するようにしています。

みなさんも目と音で確認してくださいね。

私のオススメ工具

■ 胴綱

■ 補助帯

まとめ

今回は胴綱を紹介しました。

電柱作業や高所作業時には自分の身を守る安全工具として重要です。
胴綱は、柱上作業で落下を防ぎ、両手も使えるようにする安全帯なのでとても便利です。

最初は地上で手を離す練習をして、地上でできるようになってから電柱に登って作業してください。
地上で手を離せない人は、柱上では手を離す事ができません。

死亡事故につながる可能性もあるので、安全第一で作業するようにしてくださいね。

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