こんにちは、長島です。
今回は『磁気ボール盤』を紹介します。
鉄骨などに穴をあける工具です。
磁気ボール盤を選ぶ時の参考にしてくださいね。
磁気ボール盤とは
鉄骨などに穴をあける工具です。
ドリルやスチールコアを取付けて穴あけします。
マグネットの力を利用して鉄骨などの鋼材に取付けます。
磁気ボール盤の種類
■ メーカー
・ HiKOKI(工機ホールディングス株式会社)
他にもあると思いますが、磁気ボール盤を販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 電源
・ 単相100V
・ 単相200V
上記、2種類があります。
通常使用されているのは単相100Vが多いと思います。
選ぶ時には、単相100Vがいいと思いますよ。
■ 最大穴あけサイズと最大板厚
・ 板厚:50mm
・ 穴:φ60mm
先端のスチールコアを変える事で、板厚が50mmの鋼材に、φ60mmの穴があけられます。
50mmの鋼材に穴があけられるってすごいですよね。
電気ドリルで10mmの厚さの鋼材に穴をあける場合でも結構キツイですが、その数倍の50mmの厚さってすごくないですか。
■ 使用できるキリ先
・ ドリル
・ スチールコア(ハイス)ハイス
・ スチールコア(超硬チップ)
磁気ボール盤の種類によって、先端のキリ先が取付けられる種類が変わります。
ドリルが付けられるタイプは、スチールコアが取付けられません。
その逆に、スチールコアが付けられるタイプは、ドリルが取付けられません。
どのタイプの先端を利用したいかによって、本体の種類が変わってくるので、よく検討されてくださいね。
ドリルの場合には、φ25mmまで
スチールコアの場合には、φ60mmまで
上記の穴があけられます。
■ 最小吸着板厚
・ 6mm~8mm
磁気ボール盤が取付けられる板厚です。
もし、これよりも薄い鋼材に取付ける場合には、鋼材と磁気ボール盤の間に鉄板を敷いて、最小吸着板厚よりも厚くしてください。
磁気ボール盤が確実に固定されないと、穴がきちんとあかないと思いますよ。
■ 最大ストローク
・ 65mm~250mm
送りハンドルを回した時の、ドリルやスチールコアが下がる長さです。
ストロークが長いほど深い穴があけられます。
■ 前後移動量
・ 14mm~35mm
マグネットで固定した後に本体が動かせる範囲です。
穴あけしたい場所に合わせて固定しますが、ピンポイントで合わせるのは難しいので、多少のクリアランスがとれるようになっています。
■ モーターの種類
・ 単相直巻整流子モーター
本体のモーターの種類です。
磁気ボール盤は単相直巻整流子モーターが取付けられています。
■ 回転数
・ 固定式:420~950回/分
・ 切替式:高速540~680・700回/分 低速300~380・600回/分
モーターの回転数には回転スピードが一定の固定式と、回転が切替られる切替式の2種類があります。
磁気ボール盤は厚い鋼材に穴あけする事が多いので、一般的なドリルに比べて回転数が少ないタイプが多いです。
早く回転させてしまうと、ドリルが焼けて切れなくなってしまいます。
なので、回転数が他の電動工具よりも少ないですよ。
■ マグネット
・ 角形67×192
・ 角形80×170
・ 角形100×196
・ 角形110×242
・ 丸形φ140
本体を固定するマグネットの種類です。
あまり気にしなくても大丈夫だと思いますが、参考までに記載しています。
■ カーボンブラシ
・ あり
磁気ボール盤の全てのタイプはカーボンブラシが必要です。
種類のよって、カーボンブラシの種類も変わってくるので、どのタイプが必要なのか確認され、予備のカーボンブラシが最低1個はほしいですね。
■ サイズと価格
・ 総高さ:318mm~500mm
・ 重さ:9.2kg~34.0kg
・ 価格:194,000円~527,000
▪ HiKOKI 磁気ボール盤 BM 25(ドリルビット専用)の場合
・ 総高さ:488mm
・ 重さ:34.0kg
・ 価格:337,000
▪ HiKOKI 磁気ボール盤 BM 40M2(スチールコア専用)の場合
・ 総高さ:318mm
・ 重さ:9.2kg
・ 価格:194,000円
磁気ボール盤のメリット・デメリット
卓上ボール盤と比べてみました。
■ メリット
・ 移動できる。
重量が30kg以上あるタイプもあります。
しかし卓上ボール盤よりも軽いので、移動しながら使用する事ができます。
・ 鋼材にマグネットで取付けられる。
本体下部にマグネットが装備されています。
スイッチをONするとマグネットが働き、OFFにすると切れます。
・ 安価。
卓上ボール盤よりも安価なタイプが多いです。
安価といっても数十万円もするので、購入する時には十分検討されてくださいね。
■ デメリット
・ 鋼材以外に取付けられない。
マグネットで固定するので、マグネットが引っつかない材質には取付けられません。
ですので、鋼材以外には使用できません。
以上、メリット・デメリットでした。
参考になれば幸いです。
磁気ボール盤の使い方
HiKOKI 磁気ボール盤 BM 40M2 で、説明したいと思います。
■ 各部の名称
各メーカーや種類によって多少の違いがあると思いますが、概ねこのようになっています。
■ 使用できるキリ先とセンタピン
・ スチールコア(超硬チップ)
スチールコア(超硬チップ)
センタピン
・ スチールコア(ハイス)の場合
スチールコア(ハイス)
センタピン
・ スチールコア(4条ねじ)
・ スチールコア(4条ねじ)
上記、2種類のスチールコアが利用できます。
中央部にはセンタピンが入ります。
■ スイッチの操作
1 磁石スイッチをONすると、マグネットの磁力が働き、OFFにすると磁力が切れます。
2 電磁スイッチをONにした後、モータースイッチをONにするとモーターが回転し、OFFにするとモーターが停止します。
■ 送りハンドルの調整
本体の外側に引くと、ハンドルをはずせます。
左右どちらでも取付ける事が可能です。
使いやすい方に取付けてくださいね。
■ 送りハンドルの角度調整
グリップを矢印の方向に引き、使いやすい角度にしてください。
グリップを戻すと固定されます。
■ オイルタンクの取付け
1 オイルタンクを取付ける。
凹部の位置に合わせてください。
2 隙間を2mm程度にする。
ギアケースとオイルタンクの隙間が2mm程度になるようにします。
3 締付ける。
3mmの六角棒スパナで締付けます。
六角棒スパナは付属されています。
■ 切削液の注入
オイルタンク上部にキャップがあります。
キャップをあけて、付属の切削剤を水道水で20倍に薄めた液を入れます。
■ 切削液の供給
バルブをあけた状態でセンタピンが押し上げられると切削液が流れます。
バルブは、
左に回すと開きます。
右に回すと閉じます。
■ スチールコアの取付け
1 スチールコアにセンタピンを差し込む。
スムーズに動くか確認してください。
2 ワンタッチスリーブを止まるまで左に回します。
3 スチールコアを差し込む。
ワンタッチスリーブの目印の位置とスチールコア平面部(丸凹付)を合わせて差し込みます。
上下にゆらして固定されているか確認してください。
▪ 取りはずす時
取付けた要領の逆の手順ではずしてください。
■ ターンテーブルの調整
1 ロックレバーを解除する。
ロックレバーを反時計回りに回転させるとロックが解除されてフリーになります。
2 動かす。
前後左右14mm程度移動できます。
3 ロックする。
ロックレバーを時計回りに回転させると、ターンテーブルが固定されます。
■ 穴をあける
1 スチールコアを取付ける。
スチールコアを本体に取付けます。
2 ポンチングする。
穴をあけたい場所にポンチングします。
3 異物を取り除く。
マグネットの吸着面と鋼材に付着している異物を取り除きます。
4 コンセントに差し込む。
電磁スイッチがOFFになっていることを確認してください。
5 マグネットを吸着させる。
ポンチングした目印に合うように本体を調整して電磁スイッチをONにします。
6 ベルトを仮締めする。
付属のベルトで仮締めしてください。
7 センタピン先端をポンチの位置に合わせる。
ロックレバーをゆるめて位置調整します。
極端にズレてる場合には、電磁スイッチをOFFにして位置調整しなおしてください。
8 ベルトを締付ける。
仮締めしてあったベルトをしっかりと締付けます。
9 切削液の流量を調整する。
バルブを開いて流量を調整します。
10 スチールコアを回転させる。
モータースイッチをONにします。
11 穴あけする。
送りハンドルは下に下げて穴あけします。
穴があいたらモータースイッチはOFFにします。
■ 注意する事
・ アルミ製や銅合金では使用できない。
磁気ボール盤はマグネットの力で固定するので、鉄製の加工物以外では使用できません。
金属全てで使用できるものではないので勘違いされないでくださいね。
・ 電磁スイッチがONになっていないと、モータースイッチをONにしても、モーターが動きません。
必ず電磁スイッチをONにしてください。
・ オイルタンクをはずす時には切削液を抜いてからはずすようにしてください。
切削液が入ったままはずすとこぼれてしまいます。
・ 鋼材が薄い場合
磁気ボール盤は、取付ける鋼材が薄いと取付けが安定しません。
安定しない場合には、数ミリ程度の鉄板をしたに敷いてくださいね。
以上、磁気ボール盤の使い方でした。
参考になれば幸いです。
私のオススメ工具
■ 先端がドリルビットのタイプ
■ 先端がスチールコアのタイプ
まとめ
今回は磁気ボール盤を紹介しました。
マグネットの力で取付けて、穴あけする工具です。
ドリルビット用とスチールコア用の2種類があります。
鋼材以外には取付けられないので勘違いされないでくださいね。
H鋼やLアングルの穴あけには、とても便利だと思います。
検討してみてはいかがでしょうか。
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