ディスクグラインダの修理

カーボン用蓋




こんにちは長島です。

今回は『ディスクグラインダの修理』に関することを、紹介しようと思います 。
ディスクグラインダは工具の中でも、不具合の多い工具だと思います。

まとめてみたので、参考になればうれしいです。


ディスクグラインダで動かなくなる原因

① カーボンの不具合
② コードの断線
③ プラグの断線
④ ON/OFFスイッチの不具合
⑤ モーターの損傷など

私の経験上、ディスクグラインダの不具合で多い物から順番に記載しています。

①から順番に説明したいと思います。


① カーボンの不具合

ディスクグラインダの不具合で一番多いのが、カーボン不良による動作不良です。

AC100Vのディスクグラインダは、カーボン式になっています。
ディスクグラインダが動かない場合は、最初に調べる項目です。

■ カーボンの確認

① カーボンは、ディスクグラインダ本体の中央部にある、丸い樹脂でできたキャップの中に入っています。
左右2カ所あります。

カーボン用蓋

② 蓋を開けるとこのように入っています。
良い状態(カーボンが良い状態で入っている時)
上の丸い円盤が飛び出てきます。

カーボン取付 良

悪い状態(カーボンが悪い状態で入っている時)
円盤が飛び出てきません。
カーボンが擦り切れている事が多いです。

カーボン取付 不良

蓋を開けると直ぐに分かりますよ。

③ カーボンを取り出してみる。

▪ 良い状態

カーボン 良

▪ 悪い状態

カーボン 不良

▪ 一目でわかるように並べてみました。

カーボン長さ

上が悪いカーボンで、下が良いカーボンです。
ここまで擦れているとディスクグラインダは動きません。

④ カーボンを交換します。

注意

カーボンが擦れていなくても動かない時があります。
カーボンが内部で動かなくなっていて接触していない時です。
そのような場合は、カーボンを4方向ヤスリで軽く削ってあげると、動きが良くなり動くようになります。

▪ ブラシレスモーター

最近では、充電式タイプのディスクグラインダがあります。
充電式タイプはブラシレスモーターを搭載していますので、カーボン不要になっています。
充電式タイプを検討している人は、上記に記載しているカーボンの不具合はありませんよ。

次で紹介する
②コードの断線
③プラグの断線

上記、2種類の不具合もありません。


② コードの断線

下記、写真のようにディスクグラインダでケーブルを損傷させることがあります。

ケーブル損傷

ディスクグラインダに限らず、AC100Vの機器には必ず電源コードが付いていると思います。
家庭で使用されているコードが断線する事はとても珍しいですが、ディスクグラインダではよく発生します。

それは何故だと思いますか?

それは・・・

ディスクグラインダが切断・研磨する工具だからです。

ディスクグラインダは先端のディスクが回転し、刃の種類によって切断・研磨ができます。
先端のディスクの種類によっては、金属はもちろんのこと、コンクリートも切断できますよ。
とても危険な工具です。

職種にもよりますが、建築現場での怪我では上位にランクインしていると思います。

ヒヤリハットでは、No1かも知れませんね。

ですので、コードの切断なんて簡単です。

回転しているディスクにあたるだけで、あっというまに切れてしまいます。

ディスクグラインダを使用している方は十分に気を付けて作業していると思いますが、手元に意識が行っているので、コードがあることを忘れてしまい、ディスクがコードに接触し切断してしまいます。

この場合は、コードを接続しないと使用できません。

接続のやり方を教えたいと思います。

■ コードの断線の修理方法

必要な工具と材料

ケーブル損傷 修理工具

・ カッターナイフ
・ ニッパもしくはペンチ
私はニッパが使いやすいので、ニッパを使用しています。
・ 圧着ペンチ
直線スリーブの種類に合わせて圧着ペンチの種類も変化します。
絶縁被覆付圧着端子・スリーブ用が使いやすいです。
・ 直線スリーブ(1.25sq用)
絶縁被覆付スリーブが使いやすいです。
・ ビニテープ
私は主に黒テープを使用しています。

■ 接続手順

① 切断したコードの先端を切る。

ケーブル損傷 修理1

② カッターナイフでカーブルの外装被覆を縦割りし、ニッパで外装被覆を剥がします。
内装被覆にキズを付けないように気を付けてくださいね。

ケーブル損傷 修理2

③ 内装被覆を剥き絶縁被覆付スリーブを挿入し、絶縁被覆付圧着端子・スリーブ用で圧着する。
赤ケーブルよりも少し段差をつけながら白ケーブル、黒ケーブルと一本づつ圧着します。

ケーブル損傷 修理3

④ 最後に黒ケーブルを圧着します。

ケーブル損傷 修理4

⑤ 片方のケーブルが完了

ケーブル損傷 修理5

⑥ もう片方のケーブルとつなぎます。
短い黒ケーブルからつないでくださいね。

ケーブル損傷 修理7

⑦ 白ケーブル、赤ケーブルの順番に圧着します。

ケーブル損傷 修理8

⑧ 三本とも圧着完了
ケーブルの長さがバラバラにならないように注意しましょうね。

ケーブル損傷 修理9

⑨ 外装被覆を被せます。
この上からテープを巻いても良いですが、私は堅固にしたいので、ケーブルの外装被覆を被せてからテープを巻きます。

ケーブル損傷 修理10

⑩ 不要になったケーブルの外装被覆を被せます。

ケーブル損傷 修理11

⑪ 切れ目が弱くなるので、短い外装被覆をあてます。

ケーブル損傷 修理12

⑫ 最後にビニテープを巻きます。
半重2往復半がテープ巻きの基本です。

ケーブル損傷 修理13

⑬ 動作確認します。
プラグをコンセントに差し、試運転します。

コンセントに差す時には、本体を持ってコンセントに差してください。もしスイッチが入ったままになっていたら、急に動きだす事があります。

私は必ずディスクグラインダを持ってから、コンセントにプラグを差します。

③ プラグの断線

■ プラグとは

家電コードの先端に付いている、コンセントに差し込むオス側の事です。

プラグ

皆さんもAC100V電源の機器を使用する際に、コンセントにプラグを差して使用していると思います。

コンセントからプラグを抜く時はどうしていますか?

皆さんもご存知の通り、プラグを持ってコンセントから抜くのが良いとは知っていると思います。
ですが、全ての人がプラグを持ってから、コンセントから抜いてはいないと思います。
それよりは手っ取り早く、コードを持って引っ張っているのではないでしょうか。

私の子供もコードを持って引っ張って抜いているのをよく見かけます。
(注意してもなかなか直りませんが・・・)

新品だとコードが新しいので断線はしません。
それが、数年使用していると、いつも通りしているのに「あれ? 動かない? なんで?」と経験されたことはないでしょうか。
電線は電流が流れると劣化していきます。
大きい電流が流れれば劣化するスピードも速くなります。
電線が劣化しているのにコードを持ち、引っ張るとどうなるでしょうか?
想像してもらうと分かると思いますが、断線してしまいます。
これはどの機器のコードでも言えることです。

私は電気工事士をしているので、現場に入っている時に職人さんたちから、ディスクグラインダが動かないので見てくれと言われることがあります。
プラグの根元を左右に動かすと動く事があるので、そのような場合はプラグの断線です。
一度切れたプラグはもとには戻せないので、新品のプラグに付け替えるしかないです。

■ プラグ交換

必要な工具と材料

プラグ交換 工具

・ カッターナイフ
・ ニッパもしくはペンチ
ニッパの方が使いやすいですよ。
・ 圧着ペンチ
圧着端子の種類に合わせて圧着ペンチの種類も変化します。
絶縁被覆付圧着端子・スリーブ用が使いやすいです。
・ プラス・マイナスドライバー
・ 端子(今回は2sq用を使用しています。)
ケーブルサイズに合わせて使用してください。
絶縁被覆付端子が使いやすいです。
・ コンセントプラグ
Panasonicの場合は、WF75159です。

■ 修理手順

① 悪いプラグを切断します。

プラグ修理

② プラグのゴムカバーをコードに入れます。
先に入れておかないと、後で入らないので注意してくださいね。

プラグ修理1

③ コードの外装被覆を15mm~20mm程度剥きます。
目安としては、カッターナイフ刃の幅くらいです。

プラグ修理2

④ 内装被覆を端子の長さで剥きます。

プラグ修理3

⑤ より線を捩じって端子が入りやすくします。

プラグ修理4

⑥ 端子を圧着します。
今回は絶縁被覆付端子を使用しました。
絶縁被覆付端子が使いやすくて安全です。

プラグ修理5

⑦ プラグのビスを緩め、最初にアース(接地)側を取付けます。
アースだけは間違わないように気を付けてくださいね。
間違えるとブレーカーが落ちてしまいます。

プラグ修理6

⑧ プラス・マイナスを間違えないように取り付けます。
アース(接地)ほど気を使わなくても大丈夫ですが、プラスとマイナスは間違わない方がいいと思います。

プラグ修理7

⑨ ゴムカバーをプラグに取付けます。

⑩ 動作確認します。
私はいつでも修理できるように、作業車の中に予備のプラグを入れて置くように心がけています。

■ ワンポイントアドバイス

プラグのゴムキャップは内部に溝が入っています。
プラグにも溝があるので合わせるようにしてください。
プラグとゴムキャップが合っていないと入りません。

ゴムキャップを上から見ると溝があるのが分かると思います。

プラグ修理8

プラグにも溝があるのが分かると思います。

プラグ修理9

最初は印を付けると簡単ですよ。
新品のプラグはゴムキャップに入れるのに苦労すると思います。
マイナスドライバーでゴムキャップを広げるように入れると、比較的簡単に入ると思うので、試してみてくださいね。

プラグ修理10

④ ON/OFFスイッチの不具合

本体根元にあるビスを緩めると、スイッチが目視で確認できるようになります。

必ずコンセントにプラグがささっていないことを目視で確認してから作業してくださいね。

必要な工具

・ カードテスター

HIOKI カードテスター 3224

・ プラスドライバー

VESSEL No220 ボールグリップドライバー 2×100

スイッチの良否を判定するには、カードテスターが便利です。

電気は流れていても目で見る事はできません。
その時に便利なのがカードテスターです。
スイッチの一時側にカードテスターの一本(赤コード)をあて、スイッチの二次側にもう一本のコード(黒コード)をあて、導通テストをします。

スイッチがOFFの状態では導通はありません。
スイッチをONの状態で導通があればスイッチは問題ありませんが、スイッチをONにしても導通がなければスイッチが悪いことになります。

■ スイッチの確認方法

① 本体の下部にあるビスを緩めカバーを外す。

ディスクグラインダ カバー

カバーを外すと、このようになっています。

ディスクグラインダ 内部

② スイッチをOFFに状態でテスターをあてる。
導通試験はレンジを一番右側にします。
OFF状態では、表示はOFのまま変化なく音も鳴りません。

ディスクグラインダ スイッチOFF

③ スイッチをONにしてテスターをあてる。
※ ONの状態では、テスターの表示が0に近い数字になり、音も鳴ります。

ディスクグラインダ スイッチON

※ スイッチをON状態でテスターの表示も変化がなく、音も鳴らなければスイッチの不良と判断できます。
その場合はスイッチの交換をしてください。

■ スイッチを確認する場合

スイッチの型番はスイッチ本体の横に記載しています。

購入した販売店で購入できると思います。

型番が分かれば、ネットでの購入も可能だと思いますよ。

⑤ モーターの損傷など

①から④までの項目を実施したら、残すは本体の不具合だけです。

モーターが焼き付いて壊れているか、損傷していると思います。
最寄りの販売店に修理依頼してください。

これから先はメーカーに依頼して修理してもらった方が良いと思います。
慣れた方ならモーターの交換もできるかも知れませんが、素人の方は扱わない方がいいですよ。
モーター単体で購入しても、間違った修理をしてしまうと修理不可能になってしまう恐れがあります。

メーカーに依頼して修理するとこをオススメします。

まとめ

ディスクグラインダの不具合で多いのが①~③です。

①~③の不具合はご自身で修理できますので、修理手順に沿って修理してみてください。
ただし、修理するのは必要な工具と材料を揃えられる方のみだけにしてくださいね。
専用の工具がないのに自分で修理しても、同じ場所で不具合が発生する可能性があります。

④ スイッチの交換も自分でできます。
最寄りの販売店でスイッチの購入が可能か確かめてみてはいかがでしょうか。
メーカーに修理に出すよりも、最短かつ安価で修理できますよ。

⑤ モーター等の修理はメーカーに依頼した方がいいと思います。
扱わない方がいいと思います。
適正に修理すれば、まだまだ使用できるディスクグラインダもあると思います。

簡単な修理でメーカーに依頼するのはもったいないと思いますので、ご自身での修理にチャレンジしてみてくださいね。




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