こんにちは、長島です。
今回は『フルハーネス型墜落制止用器具』を紹介します。
高所作業する時は、必ず必要になる安全工具です。
工具を選ぶ時の参考にしてくださいね。
フルハーネス型墜落制止用器具とは
肩から腰、脚まで複数のベルトを通し、落下した時にすり抜けを防止するための安全工具です。
肩から脚までベルトで固定する事で、局部への圧迫を防止する事や、宙づりされた時の逆さになる事が無いように防止する役割もあります。
墜落事故災害を低減させ、安全性を高められるようになっています。
労働安全衛生法施行令の一部改正により、「安全帯」の名称が「墜落制止用器具」に改正されています。
▪ 墜落制止用器具
・ フルハーネス型(1本つり)
・ 胴ベルト型(1本つり)
▪ ワークポジショニング用器具
・ U字つり胴ベルト(胴綱)
上記のように分類されました。
2019年より前の安全帯には
厚生労働省 平成14年「安全帯の規格」適合品
と記載しています。
上記、記載がある安全帯は、2022年から使用できなくなります。
今から購入される際は、
2019年2月「墜落制止用器具の規格」適合品
上記記載している墜落制止用器具フルハーネス型を購入するようにしてくださいね。
何度も言うようですが、上記記載がないハーネス型安全帯は、
2022年1月から使用できなくなります。
フルハーネス型安全帯に移行の流れ
① 第1段階
2019年2月1日
新規格品の製造・販売開始
② 第2段階
2019年8月1日
現行規格品の製造中止
③ 第3段階
2022年1月2日
現行規格品の使用不可
2022年から、現在使用されている安全帯は使用できなくなります。
フルハーネス型墜落制止用器具へ完全移行されます。
今から準備しておいた方が良さそうです。
■ 安全衛生特別教育について
フルハーネス型墜落制止用器具を使用される際は、特別教育の受講が必要になってくるみたいです。
私の友人は、米軍に努めていますが、昨年には講習を受けたみたいです。
学科 4.5時間
実技 1.5時間
上記、受講が必要です。
各都道府県で実施しているみたいですね。
私も受けに行こうと思います。
フルハーネス型墜落制止用器具の種類
■ メーカー
・ DENSAN(ジェフコム株式会社)
・ FUJII DENKO(藤井電工株式会社)
・ FUJIYA(フジ矢株式会社)
・ MARVEL(株式会社マーベル)
・ TAITAN(サンコー株式会社)
・ TAJIMA(株式会社TJMデザイン)
他にも沢山あると思いますが、フルハーネス型墜落制止用器具を販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ フルハーネス型墜落制止用器具の構成
ハーネス本体とランヤードの二つに分かれています。
▪ ハーネス
・ 肩ベルト
・ 胸ベルト
・ 脚ベルト
・ 骨盤ベルト
上記、4種類に分かれています。
肩から脚まであるベルトです。
各ベルトは、ワンタッチバックルで繋ぎます。
以前のハーネスは樹脂製のワンタッチバックル式でしたが、フルハーネス型墜落制止用器具のバックルは金属製になっています。
▪ ランヤード
・ D環
・ ショックアブソーバーも含む
・ ロープ
・ フック
上記、4種類に分かれています。
フルハーネス型墜落制止用器具は、全てショックアブソーバー付きです。
ロープの種類も3種類ほどありますので、お好みで選んでくださいね。
■ ハーネス ベルトの材質とサイズ
・ ベルト ー 45mm (主ベルトです。)
・ 胴ベルト - 50mm (脱着可能なタイプが多いです。)
・ 胸ベルト - 30mm
上記、3カ所に分かれています。
ベルトの材質は、ポリエステル製が多いみたいです。
ベルトの幅は、場所によって多少違ってきます。
肩や背中に当たる部分にパットが入っているタイプがあります。
長時間フルハーネス型墜落制止用器具を付けている方にはオススメです。
■ 脚ベルト タイプ
・ V型
・ 水平型
股部分のベルトです。
作業性を考えると、水平型が良いと思います。
落下した時の事を考えると、V型が良いと思います。
私は、動きやすそうな水平型をオススメします。
■ 金具の種類
・ 肩バックル
肩から脚までの縦に添えている、ベルトを調整する金具です。
ハーネス型墜落制止用器具の中心です。
・ 胸クリップ
肩に担いた左右のベルトを固定する金具です。
胸クリップをすることで、肩に担いてベルトが安定します。
胸クリップは必ず止めるようにしてくださいね。
・ 脚バックル
左右の足に通したベルトを調整する金具です。
足のベルトは緩めがちだと思いますが、緩ませ過ぎないように注意してくださいね。
・ D環
ハーネス専用のランヤードを固定する金具です。
ハーネスの背中側にあります。
宙吊りになった場合、体が逆さにならないように設計された場所に取付けてあります。
金具類は、樹脂製だったのが金属製へ変更になっています。
以前は樹脂製のワンタッチバックルを使用していましたが、安全帯の名称が墜落制止用器具になってからは金属製のワンタッチバックル式になりました。
■ ランヤード
・ ロープ巻取式
ロープが巻取式になっているので、使わない時はロープを巻取器に収納させておくことができます。
伸ばした時の長さは1600mmが多いです。
・ 伸縮自在ストラップ
メーカーによって多少の違いはありますが、短い時で1100mm~1200mm
伸ばした場合1550mmまで伸ばせます。
・ ロープ式
上記、2種類とは違い、ロープが縮む事はありません。
丸いタイプと平たいタイプの2種類があります。
長さは1600mmが多いです。
上記、3種類があります。
ランヤードの本数も1本タイプと2本タイプの、2種類があります。
1本タイプよりも2本タイプの方が、安全面では上だと思います。
ロープの本数が多くなると重量も重くなるので、購入される際は、重量も検討されてくださいね。
▪ 例
黒影ハーネス ランヤード付 の場合
ロープ一本タイプ(TH-504-NV93SV-OH-R23)だと、1755g
ロープ二本タイプ(TH-504-2NV93SV-OH-2R23)だと、2265g
二本タイプの方が、510gも重くなります。
全て同じだとは思いませんが、500gくらいは違ってくるかも知れませんので、よく検討されてくださいね。
■ 重量
・ 1300g~3000g
ハーネスの重さは各メーカーとも変わりません。
ロープの重さで重量が変わってきます。
ロープも一本と二本では違ってきます。
よく検討されてくださいね。
■ ショックアブソーバー
・ 第一種
・ 第二種
上記、2種類があります。
▪ 第一種
ハーネス型用ランヤードの種別 | タイプ1 |
自由落下距離 | 1.8m |
衝撃荷重 | 4.0kN以下 |
フックの取付け位置 | 腰より高い位置 |
▪ 第二種
ハーネス型用ランヤードの種別 | タイプ2 |
自由落下距離 | 4.0m |
衝撃荷重 | 6.0kN以下 |
フックの取付け位置 | 腰より高い位置から足元付近まで |
フックの取付け位置は、腰より高い位置を推奨しています。
なるべく腰より高い位置に取付けましょうね。
■ 胴ベルト型墜落制止用器具の使用条件
フルハーネス型墜落制止用器具を使う事が基本ですが、胴ベルト型墜落制止用器具が使いない訳でもありません。
私もあまり理解していないので、分かっている範囲では、
作業床の高さが6.75m以下で、
墜落時に地面に衝突するおそれがある場合は、胴ベルト型墜落制止用器具の使用が認められています。
胴ベルト型には、胴ベルト型用ランヤードをご使用ください。
フックは腰より高い位置にしか掛けることしかできません。
建設業で5mを越える。
柱上作業等で2m以上の個所ではフルハーネス型墜落制止用器の使用が推奨されます。
詳しい事が分かり次第、追記したいと思います。
ハーネス型墜落制止用器具のチェック
一度でも大きな衝撃を受けた安全帯は、外観に変化がなくても継続使用はできません。
■ 胸ベルト
・ 差込バックル、ベルト保持板、ベルト止メに亀裂が生じているもの。
■ 調節金具
・ 深さ1mmの傷があるもの。
・ バックルとベルトの接合部が摩耗し、ベルトがゆるむもの。■ バックル
・ 亀裂が生じているもの。
・ ベルトの、かみ合わせ部が著しく摩耗しているもの。
・ 全体的にさび(腐食)が発生しているもの叉は変形しているもの。
・ 正しく装着して、腹部に力を入れてベルトのゆるむもの叉は、動きの悪いのも
・ リベットのかしめ部に緩みや摩耗が生じているもの■ ストラップ巻取器
・ ストラップの引き出し叉は巻き込みができないもの。
・ ストラップを勢いよく引き出してもロックが効かないもの。
・ 巻取器のケースが割れたり、ひびの入っているもの。
・ 金具類が著しくさびているもの。
・ ショックアブソーバーのカバーが割れベルトが露出しているもの。■ D環
・ 亀裂が生じているもの。
・ 深さ1mm以上の傷のあるもの。
・ 変形の大きいもの。
・ さびの激しいもの。■ D環止め
・ D環止めが割れ、D環が固定できないもの。
■ ベルト保持板
・ 保持板が割れ、ベルトが固定できないもの。
■ ベルト
・ ベルトの耳、または中に3mm以上の損傷、焼き傷などがあるもの。
・ ベルトの両耳のすりきれが激しいもの。
・ 著しい変色や溶解が見られるもの。
・ 塗料が多量に付着して硬化しているもの
・ バックル締め付け部のベルトが傷んでいるもの。■ フック
・ 亀裂が生じているもの。
・ フックのかぎ部の内側に傷のあるもの。
・ フックの外側に1mm以上の傷があるもの。
・ 外れ止め・安全装置の動きが悪いもの。
・ さび(腐食)が激しいもの、叉は変形しているもの。
・ シンブルがないもの。
・ リベットのカシメ部に緩みや摩耗が生じているもの。
・ ばねが破損しているもの、叉は弱くなっているもの。
出典元:サンコー株式会社 会社概要
点検項目が沢山あります。
体を守る安全工具なので、定期的に点検をしてくださいね。
ハーネス型墜落制止用器具のメリット・デメリット
ハーネス型墜落制止用器具と、胴ベルト型安全帯を比べてみました。
■ ハーネス型墜落制止用器具
▪ メリット
・ 安全性が高い。
肩から腰、股下にベルトを巻くので、落下した時の衝撃が胴ベルト型安全帯と比べると下がります。
・ 落下した時にすり抜ける可能性はほとんどない。
肩から腰、股下までベルトを巻くので、すり抜ける可能性は限りなく0(ゼロ)に近いと思われます。
▪ デメリット
・ 装着するのが面倒で時間がかかる。
慣れるまでは時間がかかると思いますが、慣れてしまえば手際よく装着できると思います。
・ 動きづらい。
ハーネス型安全帯を体に巻き付けてから、腰道具を装着するような形になります。
体中にベルトを這わせる形になると思うので、慣れるまではとても動きづらいと思います。
■ 胴ベルト型安全帯
▪ メリット
・ フック脱着式は、脱着が簡単。
環類に取り付けるだけなので、とても簡単です。
不要な場合は、簡単に外す事もできます。
▪ デメリット
・ 落下した時は、衝撃が腰に直接伝わり、重大災害になる。
胴ベルトのD環等に引っ掛けるだけなので、一点だけの衝撃になります。
ショックアブソーバー付きだと、少しですが衝撃を和らげてくれます。
・ 落下した時にすり抜ける可能性がある。
腰道具に取付けているので、腰道具から自分自身がすり抜けて落下する可能性があります。
まさかと思われるかも知れませんが、そのまさかが起こるのが事故です。
注意してくださいね。
フルハーネス型墜落制止用器具の使い方
使い方は安全帯と同じです。
作業場所に到着したら、墜落制止用器具のフックを取付けます。
フックを取付ける場所は、腰よりも高い位置に取付けるよう、心がけてくださいね。
■ フルハーネス型墜落制止用器具の装着する方法を説明します。
① 胸バックルと脚バックルを外す。
② 肩から背負う
③ 胸バックルを取付ける。
長さを調整します。
④ 左右の脚バックルを取付ける。
長さを調整します。
⑤ 腰にあるバックルの長さを調整する。
緩る過ぎず、締め過ぎずが良いと思います。
⑥ フックをフックハンガーに取付ける。
最初に取付けておいた方が、邪魔になりにくいかもしれません。
以上、フルハーネス型墜落制止用器具の装着する方法でした。
長さの調整は、一度してしまうと、次回装着する時にはする必要はありません。
私のオススメ工具
メーカー | 品名 | 型番 |
FUJII DENKO | 黒影ハーネス ランヤード付 | TH-504-NV93SV-OH-R23 |
FUJII DENKO | 飛燕ハーネス ランヤード付 | TH-506-NV93SV-OH-R23 |
上記のタイプは、脚ベルトが水平タイプで、ランヤードが伸縮自在ストラップになっています。
まとめ
今回はハーネス型墜落制止用器具を紹介しました。
① 第1段階
2019年2月1日
新規格品の製造・販売開始
② 第2段階
2019年8月1日
現行規格品の製造中止
③ 第3段階
2022年1月2日
現行規格品の使用不可
上記の流れになっています。
2019年8月から現行品の製造中止となっていますが、2022年には使用できなくなります。
今から安全帯を購入される方は、必ず
2019年2月「墜落制止用器具の規格」適合品
と記載している、ハーネス型墜落制止用器具を購入するようにしてください。
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