こんにちは、長島です。
今回は『通線工具』を紹介します。
配管に入線する時には必要な工具です。
工具を選ぶ時の参考にしてくださいね。
通線工具とは
金属配管や樹脂配管に、電線を入線するときに使用する工具です。
通線工具と言うよりも、スチールと呼ぶ方が一般的です。
電気工事では、必ず必要な工具ですよ。
通線工具の種類
■ メーカー
・ DENSAN(ジェフコム株式会社)
・ MARVEL(株式会社マーベル)
他にもあるかも知れませんが、通線工具を販売している代表的なメーカーを記載しています。
■ 材質
・ 樹脂製
・ スチール製
上記、2種類があります。
通線工具と言えば、樹脂製ですが、スチール製もあるます。
スチール製の通線工具は、PF管と呼ばれる配管を利用して打ち込み配管をする時に、配管が潰れたりしていて、樹脂製の通線工具が入らない場所で使用する事もあります。
■ 長さ
・ 10m
・ 15m
・ 20m
・ 30m
・ 40m
・ 50m
・ 100m
上記、7種類の長さがあります。
私は30mと50mしか使った事がありませんが、使用頻度が高いのは30mです。
他の長さの通線工具は、必要な時に検討しても良いと考えます。
▪ 理由
理由としては、打ち込む配管でも露出配管でも30m以上の配管を、ジャンクションもなしに配管するのはほとんどありません。
距離が長い場合は、中間にジャンクションボックスを設置するような設計になっていると思います。
もし設計がされてない場合でも、現場代理人が設置するように、設計変更した方が良いと考えているからです。
■ ロッド線径
・ φ3.5mm~φ7.0mm
ロッドの幅の事です。
ロッド線径が大きくなればなるほど、破断荷重が大きくなるので、少しでも大きなタイプが良いと思います。
細いタイプは軽くて便利ですが、破断荷重が小さくなります。
入線時にロッドが切れたら大変なので、少しでも大きなタイプがオススメです。
■ 収納ケース
収納ケースは、通線工具を収納させるケースです。
収納ケースがないと、通線工具がぐちゃぐちゃになって収める事ができません。
通線工具を購入する時には、収納ケースも考えといてくださいね。
DENSANとMARVELには通線工具専用の収納ケースも販売していますが、お手製でも問題ないと思います。
私は、PF管と呼ばれる配管を適度な長さに切って使用しています。
他にもエフレックスやミラレックスと言う配管でも良いと思います。
通線工具を丸めるだけの収納ケースなので、特に支障はないですよ。
■ 入線時に便利な工具
・ 予備線グリップ
メーカーによって呼び方も様々ですが、ハンズプーラーやマイティープーラーと言う名称の、通線工具を掴む工具です。
通線工具は細くて、すべりやすい構造になっています。
直線が多い配管に入線する時は、簡単に入線できますが、曲がりが多い時には、手で引っ張ると、通線工具を持っている手が滑ってしまします。
そのような時は、予備線グリップ等の通線工具を掴む工具があると便利です。
通線工具をガッチリ掴んで、滑らない構造になっていますよ。
私は持っていないので、手が滑る時はペンチの先端部分を利用して引っ張っています。
間違っても根元で持たないようにしてくださいね。
根元部分は切断できるようになっています。
間違って掴むと簡単に切れてしまいます。
ペンチを利用する時は注意が必要です。
そのような心配がないのが、予備線グリップです。
通線工具を痛めないようになっているので、オススメです。
■ その他
通線工具に似た工具に、シャトルライナーがあります。
バドミントンの羽のようなものに、リードロープ(φ0.7のロープ)を取り付け、ブロワの風圧を利用して、リードロープを飛ばします。
リードロープは細いロープになっているので、通線工具や、ロープ等に付け替えて入線します。
長距離の露出配管等の入線に適していると考えます。
何故露出配管に適しているかと言うと、使った事がないので、私の勝手なイメージですが、コンクリート等での打ち込み配管で使用した場合、羽が途中で止まり、リードロープが切れた場合は回収ができないからです。
コンクリートの打ち込み配管で使用するのは、リスクが高いと感じます。
露出配管は配管が見えているので、もし羽が止まってリードロープが切れた場合でも、場所を特定し回収する事ができるからです。
配管が大きくなれば通線工具が入りにくくなるので、そのような場所では有効かも知れませんね。
■ 入線液
スベリ粉やケーブルスライダーとも呼ばれている入線液です。
工具ではありませんが、入線時に必要なので紹介しておきます。
入線作業時に、電線が入りにくい場所で使用します。
配管の曲がりが多かったり、配管が潰れていたりして入線しにくい時に使用します。
ケーブルを入れる側の人が、電線に入線液を付けながら入線する事で、引っ張る側の方の負担を軽減させてくれる便利な入線液です。
▪ タイプ
・ 液状
現場で一番見かけるのは、このタイプです。
シリコンタイプとノンシリコンタイプがあります。
シリコンタイプは少しベタベタしているので、手袋に付着するとベタベタ感が残ってしまいますので、ウエス等に付着させてから使用すると、手袋に付きにくいと思いますよ。
スプレー式もありますが、周囲に飛散させるので、クロス等が貼り終わり仕上がった場所では使いにくいと思います。
・ 泡状
シリコンタイプのスプレー式です。
泡状なので、周囲に飛散させません。
一点だけに入線液を付着させたい時は便利です。
・ 粉
粉状のタイプです。
液状タイプは泡状タイプとは違い、ベタベタ感はありません。
サラサラしていますので、触った場合も気にならないと思います。
サラサラしているので、粉が電線に付着しにくいと感じる事があります。
上記、3種類があります。
私のオススメは泡状のタイプです。
スプレー式なので、電線に付着させるのが簡単です。
それに飛散しないのも理由の一つです。
通線工具のメリット・デメリット
樹脂製とスチール製を比べてみました。
■ 樹脂製
▪ メリット
・ 柔らかい。
樹脂製は柔らかいです。
曲がりがキツイ場所でも、スチール製よりは通りやすいと思います。
・ 種類が沢山ある。
沢山の種類があります。
種類が沢山あって悩まれると思います。
私のオススメ工具に記載しているので、参考にしてくださいね。
▪ デメリット
・ 高価。
スチール製よりも高いです。
樹脂製が約2倍~3倍もします。
■ スチール製
▪ メリット
・ 安価。
樹脂製よりも安いです。
・ 強い。
スチール製なので強いです。
簡単に切れる事はないと感じます。
▪ デメリット
・ 曲がりがキツイと入りにくい。
スチール製で硬いので曲がりにくいです。
曲がりが多い場所や、曲がりがキツイ場所では配管に入らないと思います。
通線工具の使い方
入線作業をする場合、通常は2人で作業します。
ボックスAからボックスBに入線する時で説明します。
電線と通線工具を準備している状態から説明しますね。
■ 入線手順
① 収納ケースから通線工具を出す。
配管の長さを大体の目安で通線工具を出します。
ある程度出した状態から、通線工具を入れないと、時間がかかってしまいます。
時間短縮のためにも、通線工具を収納ケースから出してくださいね。
② ボックスAから、通線工具を入れる。
ドンドン中に入れてください。
ボックスⒷに待っている方から合図があるまで入れます。
③ ボックスBから、通線工具を引き出す。
ボックスBに通線工具の先端が到着したら少しだけ通線工具を出します。
④ 通線工具に電線を取付ける。
IVを入線する場合は、配管のサイズと電線の太さを考慮して取付けます。
▪ IV電線3本を入線する場合
・ 簡単に入りそうな時は
1本だけを通線工具に固定して、残りの2本はその1本に添えてテープで巻いて固定します。
・ 簡単には入らない時は
3本とも被覆を剥いて通線工具に固定します。
通線工具に直接固定する事で、IV電線が抜けないようになります。
電線を通した場所は、ペンチで潰すようにしてください。
電線を通した場所が大きくなると、電線が通りません。
少しでも細い方が入りやすいですよ。
⑤ ボックスAから通線工具を引っ張る。
ボックスBにいる人が掛け声をかけながら、ボックスAの人が通線工具を引きます。
必ず電線を持っている方の方が、掛け声をかけるようにしましょうね。
IV電線がヨレたり、絡んだりした場合にSTOPをかけられるようにしましょう!
⑥ 必要な長さを取る。
ボックスから出た長さが100mm~150mm程度あれば十分です。
あまり短くならないように注意してくださいね。
ベテランさんに多いのですが、結線するかと言って、わざと短くする方がいます。
電線が短いと、ボックスの中に収めるのも大変になります。
最低でも100mmは必要だと思います。
⑦ 電線を切る。
以上、通線工具の使い方でした。
入線をしていて、入りが悪い場合があると思います。
そのような場合は、入線液を使用すると、引っ張る方の負担が軽減されますよ。
何も付けずに入線するよりは、スムーズ入線できると思います。
入りにくい時は試してみてくださいね。
私のオススメ工具
■ 通線工具
■ 収納ケース
■ あると便利な工具
まとめ
今回は通線工具を紹介しました。
配管に電線を入線する時には、必要な工具です。
樹脂製とスチール製の2種類がありますが、樹脂製の方が使用頻度は高いです。
スチール製も便利なので、予算があったら購入しても損はないと思います。
電気工事をしている方しか必要のない工具ですが、電気工事をしていて持っていない方は検討してみてはいかがでしょうか。
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